親や親族から土地を相続した場合、建物を残した状態で土地をそのまま放置してしまうと、自治体から【特定空家等】に認定されてしまい、固定資産税や都市計画税の税金が減額できる【住宅用地の特例】の適用から外れてしまう事態に繋がってしまいます。適用の対象外になってしまった場合、固定資産税が5倍以上に増えてしまいます。そうした場合、相続者の方がどのような判断をした場合でも、必要になってくるのが既存建物の「解体」です。解体には多額の費用が掛かってしまう為、土地再利用の妨げになってしまう場合もあります。このような事態に陥らないためにも、土地を再活用するか、土地を売却するかの判断が求められます。ですが、ただ単に相続をしたくないという理由から、相続放棄をすることはお勧めしません。一歩的に相続放棄をしてしまうと、他の財産も相続することが出来なくなってしまうのです。つまり、相続放棄を選択されると、土地や空き家、他の不動産も相続の対象から外れてしまうので要注意です。
今回紹介させていただく記事は、解体にかかってくる内訳の金額や都市部から地方別の解体相場、建物の大きさによる費用の違い、解体が始まってから解体完了後までの流れ、家(建物)を解体する際に利用できる補助金制度や、ローンを安く抑えられる方法・補助金関係について紹介・解説していきます。
1.家の解体費用はいくらかかる?
現在の解体業者さんの見積もりを出す際の家の解体費用相場は、1坪当たりの単価で相場提示するのが一般的です。建物の解体にかかる金額は、平米数や坪数によって解体にかかる費用は変化しますが、一般的な木造住宅の場合1坪当たり5万から7万万円が相場になっています。また軽量鉄骨構造の場合は7万円から8万円、鉄筋コンクリート構造の場合は8万円から10万円と、材料構造がより固いものになっていくほどに解体費用も増加していく流れになっています。
また今説明した相場はあくまでも解体費用の平均になります。また、各都道府県でも、解体を施工する職人さんへ支払う費用や、解体作業時に使用するトラックやバックホー(重機)の使用料金などによっても価格変動に影響があります。
【1坪の大きさ】
・約3.3平方メートルほどです。より分かりやすい例えとして、畳2枚分の広さを表しています。
解体費用が変動する要因
解体費用は解体する建物の構造によって価格は変動します。そうすると、単純に解体しにくい建物に関しては費用が増加してしまうことがわかると思います。また建物の躯体に使用されている材が、固い素材の物ほど大型の重機や人員を集めなければいけないため、解体費用も高くなります。
・地形が入り組んでいて重機の使用が難しい環境である場合
地形が悪く現場まで重機を運搬することが困難な場合は、解体作業を人力だけで行わなければならないため作業時間もかかってしまいます。
・解体時に周辺の道路状況が悪くガードマンを常時同行させる必要性がある場合
解体する現場周辺の人通りが多かったり、道幅が狭いために道路を通行止めにして作業をする場合、安全を確保するためにガードマンを常時同行させなければいけない為、その分の人件費も増えます。
・解体で出た産業廃棄物が予定よりも多く出てしまった場合
廃棄物が多いと、処分用のボックスの数量も増えてしまうためその分処分料金も増加します。
・地中を掘り起こした際、コンクリートやブロック、レンガや瓦などが数多く出てきた場合
地中から廃棄物が出てきてしまった場合、【マニュフェスト制度や廃棄物処理法】が適用されるためすべての廃材を撤去しなければなりません。
・悪天候が続き作業自体が進まない場合
台風や豪雨によって作業が思うように進まず、工程が遅れてしまい見積書よりも解体費用が多くなってしまうケースもあります。とくに天気の変わりやすい梅雨の時期は、料金の追加が発生しやすいのです。
解体工事を業者に依頼する前に、自分自身でも考えて知識をつけた状態で見積書を出してもらい、施工者と依頼者両方が納得した費用で解体工事を進められると工事もスムーズに行えるとおもいます。
主な解体工事の作業手順・内訳について
①【現地調査】
・建物の解体を依頼された業者が依頼主の現場におもむき、土地の地形や建物の構造、材質を調査し、どれ位の解体費用がかかるかを調べる。
②【見積もり書・契約を結ぶ】
・現地調査を元に解体業者は1週間から、2週間ほどの期間をかけて見積書を作成し、依頼主様が提示された見積書の金額で納得していただけた場合、業者と依頼者の間で契約を結び本格的に工事が始まることとなります。
③【近隣の方々へ挨拶】
・工事を円滑に進めるためにも、着工前に近隣住民の方々へご挨拶と工事の詳細な説明を行い、解体工事への理解を示めして頂き、クレームや近隣と問題が起こらないようにする。
④【足場・ネットの設置】
・解体する建物の周りに足場を設置し、周辺に解体時のゴミや瓦礫物が落ちるのを防止するために、解体専用ネットを足場に張る
⑤【既存の引込設備及び建物内外部の廃棄物処理】
・解体作業を開始する前に、解体をする作業員の方が安全に作業を進められるように、建物内部・外部に設置されている電気や、ガス、水道配管などの撤去を先行して行います。
⑥【重機による建物本体の解体作業および分別・回収】
・解体用の重機を現場に搬入し本格的に建物本体の解体作業を行います。取り壊し作業と同時に、作業員が材ごとに分別を行いながらトラックに搬入し、廃棄物処分場へと運搬されます。また重機での解体作業中は、粉じん対策のために、作業員の方がホースで水をかけながら解体作業を行います。
⑦【仮設備の撤去】
・全ての解体作業が完了した状態で足場やネット類の回収・撤去を行います。
⑧【解体後の整地・清掃】
・解体をしただけでは、作業完了となりません。解体作業後の敷地は地面が荒れてしまっている状態のため、現場に砕石している細かいゴミを拾うとともに、バックホウやランマーを用いて土地を平らにならします。
⑨【解体工事完了後の近隣挨拶】
・解体工事の全て完了したら、近隣住民の方に工事終了のお知らせと共に、工事協力への感謝の挨拶回りを行います。(工事後もクレームが起こさせない為)
⑩【解体工事後の申請書類手続き】
・解体工事後には、【建物滅失登録の申請】の手続きを必ず行わなければなりません。この申請は建物を完全に解体した場合、建物所有者は解体工事後から1か月以内に、必ず建物滅失登録の申請を行わなければいけません。申請書類については、法務局で書類を作成してもらい、所有者ご本人が申請しても問題ありませんが、手続きのやり方がわからない方は司法書士にお金を払って、手続きの申請全てを頼んでも良いと思います。
※申請を怠った場合、整地後他人に土地を売却できなかったり、新規で建物を建てることも出来なくなってしまいます。最悪の場合、固定資産税が課税されてしまったり、罰金や刑事的処罰を受けることになってしまうので要注意です。
解体工事の内訳詳細
解体工事の内訳詳細は、各解体業者によって記載が違う場合があります。各分類ごとに細かく内訳を出してくださる方もいれば、解体工事一式で記載される業者さんもいます。一般的な解体工事の内訳は、下記の区分で分けられることが多いです。
・解体費
・仮設工事費
・付帯工事費
・設備撤去費
・廃棄物処理費
・会社経費や諸経費
・自治体への届出費用
【解体費】
建物の解体工事全般にかかる工事費。内訳区分においても金額が1番がかかる部分になってきます。
鉄筋コンクリート>鉄骨>木造
使用されている建物の構造材によって、上記の順に解体にかかる費用も変わってきます。特に都市部と地方を比較した場合、人口密度の高い地域の方が土地の価値や物価も高いため、都市部に近づくにつれて解体費用も高くなります。
都市部>地方
【仮設工事費】
足場設置や養生シートを張るためにかかる費用。
養生シートは、解体時のほこりや解体ゴミの拡散防止の他に、防音効果も発揮するため、解体工事の現場には必ず足場に取り付けます。
【付帯工事費】
解体する建物以外の撤去作業にかかる費用。
例…倉庫、敷地内のブロック塀、植木
【仮設工事費】
足場設置や養生シートを張るためにかかる費用。
養生シートは、解体時のほこりや解体ゴミの拡散防止の他に、防音効果も発揮するため、解体工事の現場には必ず足場に取り付けます。
【設備撤去費】
ライフライン全般の撤去にかかる費用。
・電気
・電話
・エアコン
・インターネット
・水道
・ガス
各分野の専門の業者(電気屋・エアコン屋・設備屋・ガス屋)が撤去作業を行います。
【廃棄物処理費】
解体作業時に出た廃棄物の処理にかか費用。
解体時に出る廃棄物の種類
・コンクリート、アスファルト
・鉄筋、金物類
・木材
・石膏ボード関係
・プラスチック類
・瓦
廃棄物の処分につては、自治体で認可を受けている専門業者しか取り扱うことが出来ません。500万円以下の解体工事を行う場合、『建設リサイクル法』に基づいて、解体業者は事業者登録を必ずしなければなりません。その許可がされていない状態で解体工事を行った場合、違法解体として自治体から罰金を求められる可能性があります。ここでのリスクとしては、解体を行った業者だけでなく、工事依頼をしたお施主様も罰せられてしまう可能性が大きいという点です。そのような問題が起こらないようにするために、見積書を作成してもらう際、解体許可の認可が下りている業者であるかの確認をしておくと安心して工事依頼を頼むことが出来ると思います。
【会社経費・諸経費】
解体工事を行うにあたり会社側が必ず必要とする費用。主に含ませている費用としては、作業員の人件費や社用車(例…ハイエース・トラック)の交通費、駐車場代、重機のリース費用、など作業を行う上で必要な経費となっています。
【自治体への届出費用】
解体工事を行うための各種申請や、届出にかかる費用。自治体に手続きする際も費用がかかります。申請書類の作成と手続き全般は、司法書士や解体業者が代理人となって行ってもらえます。
・上記の他にもさらに細かく内訳を出してくださる会社さんもあります。
内訳が一式の場合
一式で出された場合の基本的な内訳としては次の費用が含まれています。
・設工事仮
・解体工事
・廃棄物処理費
・諸経費
詳細な内訳が記載されていない為、実際に工事全体でどれくらいの費用がかかるのか不安のある場合は、打ち合わせの段階で、内訳の内容を確認するか、再度詳細な内訳の見積書を解体業者側に作成してもらうことをお勧めします。
また、詳細な内訳には解体作業の各項目で使用する物の個数や、平米数、メートル数などの広さや、大きさ、長さを表す数量が記載されてくる場合があります。記載の見方がわからなかったり、解体規模に対して数量の記載に疑問を持たれた場合も、会社の担当者に詳細な説明をお聞きするといいと思います。
詳細な内訳が記載されている見積書であれば、複数の解体業者から相見積をするときも比較がしやすいですし、詳細な内容がわかる為、依頼主も信頼して工事を頼むことが出来ます。これらのことから、見積書の内訳を一式で提示してくる業者がいた場合、見積もりの正確さに欠けていると言えます。
産業廃棄物の取り扱いと処理
解体工事の際に出た廃棄物は、一般の家庭廃棄物と同じように処理してはいけません。主に建築現場や解体工事で出た廃棄物は産業廃棄物として処理しなければいけません。産業廃棄物は、環境省が定めた『廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)』基づいて適切な方法で分別をし、国や自治体が決めた処分場で廃棄を行わなければいけません。
解体費用を抑えるコツと注意するポイント
これから解体工事を考えていするほとんどの方が、出来るだけコストを抑えて工事を行いたいはずです!そこでここでは、解体費用を抑えるコツをいくつか紹介していきます。
①解体作業前に建物周辺・内部の不用品を処分しておく
建物内部に残っている、衣類、書類、細かい日用品や雑貨などお施主様自身で処分できる範囲の一般ゴミは、出来るだけ自分達で処分すると解体費用も抑えることが出来ます。やらなかった場合、解体業者が処分する全てのゴミは産業廃棄物として処理されていまい、その分解体費用が上がってしまいます。
②相見積もりを数社に依頼して条件の比較をする
そもそも相見積とは、施主が工事を検討中の場合、数社から見積もりを出してもらい、その中で最も条件のいい会社に工事を依頼することを言います。目安としては、独自で解体会社を調べて3,4社ほどピックアップすると、見積もりの内訳詳細や、金額を照らし合わせて比較することが出来るのでおすすめです。
ただ条件の内容も注意して見極めなければなりません。料金が1番安いというだけで判断してはいけません。見積書が極端に安かったとしても、現場調査費や諸経費が入っていない場合や、最低限の実行予算しか載せていない場合があります。もし仮に、そのような業者と契約を結んでしまった場合、解体工事が全て完了し請求書が届き確認したら、見積書よりも高い金額を請求されてしまうケースが実際にあります。
見積書の金額が適正であるか、ご自身でも調べて依頼をするといいでしょう。
③固定資産税を考慮して工事日程を調整する
建物を解体することによって、土地は更地となり、固定資産税の納付額が変化します。これは住居が建っていると、住居用地に指定されている場合は軽減税率制度が適用されるため、更地となることで減税の対象から外れるためです。
固定資産税は1月1日が選考基準日となり、その状況から納税交付書が届くこととなります。そのため年度末に解体工事を行うと、建物の固定資産税の納税は無くなりますが、土地への納税額が高くなってしまいます。
軽減の対象から外れると、最大で4倍ほどまで税率が高くなってしまいます。そのため、土地の活用方法を考えてから解体工事を計画したほうがいいと思います。
一例として、上手く土地活用をするために、解体後すぐにアパートやマンションを建てるという方法もあります。家賃収入によって収益も得られますし、節税対策にもつながります。
【余談】…なお相続された空き家自体に資産価値があり、尚且つ賃貸や住居の予定がない場合は、相続開始時から3年以内に売却されるのがおすすめします。土地と空き家の保有リスクから逃れられますし、さらに空き家にかかる譲渡所得3000万円の特別控除が適用できれば、税金の大幅な節税にもつながります。
住宅解体に活用できる補助金・ローン
各自治体や金融機関では、建物を解体する際に活用できる補助金やローンをそれぞれ独自のサポートを出しています。
自治体が出している解体費用の補助金制度
・老朽危険家屋等解体補助金
市内に老朽化し倒壊の危険性がある建物を解体する場合に、費用の一部を負担してもらえる補助金制度
・老朽危険家屋等解体補助金
・老朽空き家解体工事補助金
自治体が解体費用の、3割または上限50万円までを支給してくれる補助金制度
・解体撤去費助成事業
解体撤去費助成事業制度を取り入れている、福島県福島市の補助金制度を紹介させて頂きます。
福島県では、老朽化し倒壊の危険性が高い建物を『特定空家等』として認定し、解体工事をする行う費用の上限200万円までを支給してくださる取り組みをしています。
詳細概要については、リンクを掲載させていただきます。
紹介リンク:https://www.city.fukushima.fukushima.jp/jyuutaku-seisaku-akiya/kaitaihojo.html
まとめ
相続された土地の解体から活用方法までを解説してきましたがいかがでしたか?解体費用は空き家だと50万円以上はかかり、土地主にとっては大きな負担だと思います。そこで悩まれている方々がこのコラムを読んでくださり少しでもお役立て頂ければ幸いです。
また解体工事からその後の土地活用方法を相談したい方、解体して新たに新築を建てたいとお考え中の方は是非ディライトホームまでご連絡ください!土地情報に詳しい専門スタッフがお客様に寄り添って真摯にご対応させて頂きます。
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