
「これからの家づくりはZEH(ゼッチ)が標準」
と聞いても、北海道や東北などの積雪地域にお住まいの方は、「うちは日照時間が短いから無理ではないか」と諦めかけていませんか?
実は、寒冷地や日射が得にくい地域でもZEHの恩恵を受けられる「Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)」という基準が存在します。
この記事では、Nearly ZEHの定義や通常のZEHとの違い、2025年時点で利用できる補助金情報について分かりやすく解説します。
Nearly ZEHの仕組みを正しく理解することで、諦めかけていた快適な省エネ住宅と、お得な補助金の両方を手に入れるチャンスが広がります。
まずは、ご自身の建てる家がどの基準を目指すべきなのか、一緒に確認していきましょう。
目次
Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)とは?定義を初心者向けに解説

一言で言うと「ZEHに限りなく近い省エネ住宅」
Nearly ZEH(Nearly Net Zero Energy House)とは、直訳すると「ZEHに近い家」という意味です。
通常のZEHはエネルギー収支を「ゼロ以下(100%以上削減)」にする必要がありますが、Nearly ZEHは「75%以上100%未満の削減」で認定されます。
断熱性能や省エネ設備の基準はZEHと同等レベルを維持しつつ、太陽光発電による創エネ量のハードルを少し下げた、現実的な省エネ住宅の規格と言えるでしょう。
なぜNearly ZEHが必要なのか?(寒冷地・都市部の救済措置)
日本には、冬場の日照時間が極端に短い地域や、都心部で隣家が近く屋根に十分に日が当たらない土地が多く存在します。
こうした場所では、高性能なソーラーパネルを載せても、物理的にエネルギー収支ゼロ(100%削減)の達成が困難です。
そこで国は、自然条件によりZEH達成が難しい地域でも省エネ住宅を普及させるため、救済措置としてこの区分を設けました。
決して「性能が低い家」ではなく、立地条件に合わせた最適解の一つです。
【比較表】ZEH・Nearly ZEH・ZEH Orientedの明確な違い

3つの種類の違いが一目でわかる比較一覧表
ZEHには大きく分けて3つの種類があります。それぞれの違いを整理しました。
| 種類 | エネルギー削減率(省エネ+創エネ) | 対象地域 | 太陽光発電 |
| ZEH | 100%以上 | 全国 | 必須 |
| Nearly ZEH | 75%以上 100%未満 | 寒冷地・低日射地域 ※一部多雪地域含む | 必須 |
| ZEH Oriented | 0%以上 (省エネのみで20%以上) | 都市部・狭小地 多雪地域 | 不要 |
このように、Nearly ZEHは「ZEHとOrientedの中間」に位置し、太陽光発電は必須である点が特徴です。
※参照:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する 情報公開について
Nearly ZEHと認定されるための2つの重要条件
条件1:強化外皮基準(断熱性能)はZEHと同じ
「Nearly」だからといって、家の断熱性能(外皮性能)が低くても良いわけではありません。
壁や窓の断熱性能を示す「UA値」は、通常のZEHと同じ厳しい基準(地域区分ごとに0.4〜0.6以下)を満たす必要があります。
つまり、住み心地や冬場の暖かさに関しては、最高ランクのZEHと全く変わらない快適性が保証されているのです。
条件2:省エネ+創エネで75%以上100%未満の削減
最も大きな違いはエネルギー削減率です。
高効率なエアコンや給湯器による「省エネ」で20%以上消費量を減らした上で、太陽光発電などの「創エネ」を組み合わせ、トータルで75%以上のエネルギーを削減する必要があります。
100%には届かなくても、既存の一般的な住宅に比べれば圧倒的に光熱費を抑えられる基準設計になっています。
あなたの家はどれ?種類別・判定フローチャート

自分がどのZEHを目指すべきか迷った場合は、以下の簡易フローで確認してみましょう。
- 太陽光パネルを設置できますか?
- いいえ → 【ZEH Oriented】または【ZEH水準省エネ住宅】
- はい → 次へ
- 建設地は「寒冷地・低日射地域・多雪地域」ですか?
- いいえ(一般地域) → 【ZEH】(削減率100%が必要)
- はい → 次へ
- エネルギー削減率は100%に届きそうですか?
- はい → 【ZEH】
- いいえ(75%以上は可能) → 【Nearly ZEH】
Nearly ZEHにする3つのメリット

メリット1:ZEH同様の補助金が受け取れる可能性がある
最大のメリットは補助金です。
国の主要な補助金事業において、Nearly ZEHは通常のZEHと同等の補助額が設定されているケースが多くあります。
例えば、人気の「子育てエコホーム支援事業」などでは、高い省エネ性能が求められますが、Nearly ZEHはその要件を十分に満たします。
条件の不利な土地でも、補助金を活用して賢く家を建てられる点は大きな魅力です。
メリット2:光熱費が大幅に削減できる
エネルギー消費を75%以上削減するということは、理論上の光熱費が従来の4分の1以下になることを意味します。
昨今の電気代高騰を考慮すると、家計へのインパクトは絶大です。
100%削減のZEHには及ばないものの、太陽光発電による自家消費と売電収入があるため、月々の支払いは一般的な住宅より格段に安くなります。
メリット3:資産価値の維持と快適な住環境(ヒートショック対策)
Nearly ZEHは、断熱性能が最高等級レベルです。
部屋ごとの温度差が少ないため、冬場のヒートショックのリスクを軽減し、健康寿命を延ばす効果が期待できます。
また、住宅の省エネ性能表示制度(BELS)などでも高く評価されるため、将来的に家を売却する際も、資産価値が落ちにくい優良住宅として扱われるでしょう。
Nearly ZEHの対象となる地域・エリアはどこ?

寒冷地・低日射地域(多雪地域)
Nearly ZEHが認められる地域は、省エネ基準の「地域区分」によって決まっています。
具体的には、1地域・2地域(北海道、青森、岩手、秋田など)および、日照時間が少ない特定エリアが対象です。
また、積雪量が多い「多雪地域」に指定されている場合も対象となることがあります。
ご自身の計画地が対象エリアに含まれているかは、ハウスメーカーや工務店による詳細な確認が必須です。
都心部の狭小地等は「ZEH Oriented」になる点に注意
「太陽光が載らない」という理由だけで、どこでもNearly ZEHになれるわけではありません。
東京23区や大阪市内などの「都市部狭小地(第1種・第2種低層住居専用地域など)」で、屋根面積が確保できない場合は、Nearly ZEHではなく「ZEH Oriented」の枠組みになることが一般的です。
Orientedは太陽光発電の設置が免除されていますが、Nearly ZEHとは申請区分が異なるため注意しましょう。
【2024-2025年版】Nearly ZEHで使える補助金制度

子育てエコホーム支援事業
2024年から継続して注目されている大型補助金です。
子育て世帯や若者夫婦世帯が対象で、長期優良住宅等の要件を満たせば最大100万円の補助が受けられます。
Nearly ZEHはZEH水準の省エネ性能を有しているため、この事業の対象となるケースがほとんどです。
予算上限に達し次第終了となるため、早めの申請準備が欠かせません。
※参照:国土交通省 子育てエコホーム支援事業
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
環境省・経産省が連携して行う、通称「ZEH補助金」です。
Nearly ZEHの場合、定額55万円の補助が出る枠組みが一般的です(年度により変動あり)。
さらに、蓄電池やV2H(電気自動車への充給電設備)などを導入することで、補助額が加算される場合もあります。
公募期間が細かく分かれているため、スケジュール管理が重要です。
※参照:環境共創イニシアチブ(SII)
自治体独自の補助金との併用について
国の補助金だけでなく、各自治体が独自に行っている省エネ住宅への助成金も見逃せません。
例えば、「東京都」や「各県・市町村」単位で、太陽光パネルや断熱リフォームに対する補助を出している場合があります。
これらは国の補助金と併用できるケースが多いため、管轄の役所や施工会社の担当者に必ず確認し、取りこぼしのないようにしましょう。
Nearly ZEHを建てる際の注意点・デメリット

建築コスト(イニシャルコスト)の増加
Nearly ZEHを実現するには、高性能な断熱材、樹脂サッシ、高効率な給湯器、そして太陽光発電システムが必要です。
そのため、一般的な住宅に比べて初期費用(建築費)は高くなります。
しかし、毎月の光熱費削減分と補助金受給を合わせれば、長期的には元が取れる可能性が高い投資です。
目先の金額だけでなく、30年単位のライフサイクルコストで比較検討しましょう。
太陽光発電システムのメンテナンス費用
太陽光パネルやパワーコンディショナーは、永続的に使えるものではありません。
10年〜15年ごとの点検や機器交換の費用を積み立てておく必要があります。
特に積雪地域でNearly ZEHを建てる場合、雪の重みに耐えられる架台の設置や、落雪対策が必要になり、通常地域よりも設置コストや維持費がかさむ可能性があります。
ハウスメーカー・工務店の実績確認が必須
すべての建築会社がZEHやNearly ZEHの施工に慣れているわけではありません。
断熱気密施工の技術が未熟だと、計算上の数値はクリアしていても、実際には寒い家になってしまうリスクがあります。
依頼先を選ぶ際は、「ZEHビルダー」としての登録があるか、Nearly ZEHの施工実績が豊富にあるかを必ずチェックしてください。
まとめ:積雪地域でもあきらめない!Nearly ZEHで賢く家づくりを
Nearly ZEHは、寒冷地や多雪地域にお住まいの方でも、ZEH水準の快適さと経済的なメリットを享受できる現実的な選択肢です。
- 断熱性能はZEHと同等(夏涼しく冬暖かい)
- 光熱費を75%以上削減できる
- 子育てエコホームなどの補助金対象になる
「雪国だから」「日当たりが悪いから」と高性能住宅を諦める必要はありません。
まずは、ご自身の希望するエリアやプランがNearly ZEHの基準に適合するか、専門家に相談することから始めましょう。
プロに相談することで、あなたに最適な補助金の組み合わせや、コストパフォーマンスの良いプランが見つかるはずです。
まずはカタログ請求やモデルハウス見学で、具体的な一歩を踏み出してみてください。
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