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屋根裏と天井裏の違いは?屋根裏の機能や構造、トラブルについて解説

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傾斜のある屋根と天井。そんな、よく見かける構造をした家々の多くに「屋根裏」「天井裏」は存在します。そこに住んで日々を過ごす人は目にすることの少ない「屋根裏」や「天井裏」と呼ばれる空間ですが、その構造や役割を知る機会は限られているのではないでしょうか。

 

「屋根裏」や「天井裏」など、屋根と天井の間にある空間には色々な呼び名がありますが、実はどれも同じ空間をさしています。

 

そんな屋根裏の空間ですが、何か問題があると住まいの耐久性や快適性に悪影響を及ぼしかねません。住まいの状態が以下のどれかに当てはまる場合、屋根裏に何か問題がある可能性があります。

 

  • 家の2階部分が暑い。
  • 寒い季節は結露がひどい。
  • 天井が湿ってシミができる。

 

今回のコラムでは、あまり知る機会の少ない屋根裏が持つ機能や屋根裏の構造、よく見られるトラブルと対処方法について解説していきます。

 

ご自宅の屋根裏に問題がある方、屋根裏の機能や構造に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

屋根裏が持つ機能とは?

住んでいても実際に目にする機会の少ない屋根裏の空間。屋根裏のある住宅は多いですが、その機能はあまり知られていません。

 

ですが、そんな屋根裏の空間は、住宅の遮熱や防音に大きく役立っています。

 

季節を問わず陽の光を浴び続けている建物の屋根。暑い時期だと約80度になることもあります。

屋根自体が熱を通しにくい素材で作られている場合もありますが、その下に空間があると、より熱が伝わりにくいです。

 

屋根裏の通気性を確保して断熱材を取り付けると外気の影響を受けにくくなるので、空調の効きもよくなります。もちろん、これは寒い季節でも同様です。

 

また、屋根裏のスペースと断熱材は防音にも役立ちます。多少ですが、上階で出る騒音が軽減されることも、屋根裏を整えるメリットの一つです。

 

「屋根裏」と聞くと「屋根裏部屋」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。造りにもよりますが、使える空間が増えるのも屋根裏に空間を作るメリットです。

 

物置としても役立つ屋根裏の空間ですが、建築基準法や自治体により定められた基準を満たすと「屋根裏収納」として認められ、延床面積を増やさずに使えるスペースを増やせます。この「延床面積」は固定資産税の課税額にも影響する非常に重要な数値です。

 

トラブルの原因は屋根裏かも!快適性に影響する屋根裏の問題

熱や音を遮る役割もある屋根裏ですが、耐久性や通気性に問題があると効果が落ちてしまうことがあります。暑い季節、建物の2階だけが温度が上がりやすい場合は要注意です。

 

屋根裏が持つ遮熱性や遮音性がうまく機能していない場合、以下のような問題があるかもしれません。

 

  • 屋根裏に断熱材が敷かれていない、または劣化している。
  • 空気の入れ替えが滞っている。

 

それぞれの問題について詳しく見ていきましょう。

 

屋根裏に断熱材が敷かれていない、または劣化している

 

先ほどお伝えしたように、ほとんどの場合で屋根裏の空間には断熱材が取り付けられています。広く使われているのは、安価に手に入る「グラスウール」「ロックウール」で、どちらも断熱や防音の効果に優れた繊維です。

 

ですが、稀に断熱材を取り付けていなかったり、劣化しているケースが見られます。暑い季節、建物の2階だけ温度が上がりやすい場合は、劣化していないか、そもそも断熱材が取り付けられているのか考えてみましょう。

 

空気の入れ替えが滞っている

屋内で快適に過ごすためには断熱材が必要だと説明しましたが、もうひとつ、空気の入れ替えも熱を遮る大切なポイントです。屋根裏の空間に溜まった熱気を逃がして空気を入れ替えないと、居室の温度まで上昇してしまいます。

 

また、寒い季節に屋根裏の空気が滞留すると結露の原因になるため気を付けましょう。屋根裏の状態を目にする機会が少ないこともあり、屋根裏の結露にきづくのは難しいです。

 

結露を放置しておくと、屋根裏に使われている建材がカビたり腐食したりする原因にもなります。

 

屋根裏の構造は?屋根裏に使われる屋根材とその役割

 

あまり目にすることの少ない屋根裏ですが、実は色々な種類の木材で構築されていて、それぞれに決まった名前があります。以下の6つはすべて異なる役割を持つ屋根材です。

 

  1. 野地板(のじいた)
  2. 垂木(たるき)
  3. 母屋(もや)
  4. 棟木(むなぎ)
  5. 軒桁(のきげた)
  6. 小屋束(こやつか)

 

これらはすべて屋根や屋根裏を構築する重要な屋根材です。

 

ここでは、これら6つの屋根材の中から「野地板(野地板)」「垂木(たるき)」「母屋(もや)」の持つ詳しい役割と、屋根裏の構造を紹介します。それと合わせて屋根裏の断熱性や換気についてもお伝えするので、ぜひお役立てください。

 

野地板(のじいた)

「野地板(のじいた)」は屋根材を支えるための板で、後述する垂木(たるき)に釘で留めて使われます。通常、留め付けられるのは畳と同じ大きさの薄い木材です。

 

屋根裏の通気性が悪いと結露しやすくなり、野地板が腐りやすくなるので注意しましょう。

 

また、外見が似ているため、野地板のことを「コンパネ」と呼ぶ専門の方がいますが、この2つは同じ建材ではありません。

 

垂木(たるき)

 

「垂木(たるき)」は野地板を取り付ける建材で、使われる垂木の太さは地域によって異なります。屋根材を取り付ける際は、野地板か垂木にクギなどで留め付けますが、垂木に留め付けると雨漏りが少なくなり屋根の耐久性も上がるなどメリットが多いです。

 

これは太陽光パネルを取り付ける際でも同様で、垂木に留め付けた方が頑丈に仕上がります。

 

母屋(もや)

 

「母屋(もや)」は垂木を支える部材で、母屋の構築には柱と同じ大きさの木材が多く使われています。昔ながらの住宅の多くは母屋を露出させていましたが、近年に建てられた住宅は母屋を覆い隠すことが多いです。

 

結露による腐食や雨漏りを防ぐ!屋根裏にある換気設備の役割

 

屋根裏の温度や湿度を適切に保つには、屋根裏の空気の入れ替えが欠かせません。空気の入れ替えが適切にされていないと、高い湿度や結露が原因で野地板や梁が湿り、腐ってしまう可能性があります。

 

普段目にする機会の少ない屋根裏は、結露や腐食などの問題が起きていても気付きにくい部分です。知らず知らずのうちに野地板の腐食が進むと屋根材が剥がれやすくなり、台風がきた際に大きな問題へと繋がりやすくなります。

 

特に天井から屋根までの距離が短い住宅では、野地板の腐食が進みやすい場合もあるため、注意が必要です。

 

屋根の耐久性に直結する屋根裏の換気設備。そんな屋根裏の換気設備と換気方法には、いくつか種類があります。それが以下の3つです。

 

  1. 妻換気
  2. 軒裏換気・軒換気
  3. 棟換気

 

ここでは、この3つが持つ機能を紹介していきます。

 

また、屋根をリフォームする機会があれば、屋根裏の換気設備の改修も合わせて検討してみましょう。

 

昔とは違い、現在の建物は気密性や断熱性に優れたものが増えてきました。空調も効きやすくなり、屋内で快適に過ごしやすくなりましたが、一方で屋根裏のトラブルが増加したのも事実です。

 

いくら換気性能が優れていても、建物全体の気密性や断熱性が低いと屋根裏の換気が滞ることがあるので注意しましょう。

妻換気

 

そもそも、「妻」とは三角屋根の側面にある外壁部分のことです。この部分に設置した換気口から空気を入れ替えることを「妻換気」と呼びます。

 

妻換気は屋根裏を適切な温度や湿度に調整できるシステムです。

 

軒裏換気

 

「軒裏換気」では、天井の軒裏部分に専用の換気部材や有孔ボードを取り付けることで、屋根裏の空気を入れ替えます。

 

そんな軒裏換気ですが、断熱性や気密性が低いと少しの効果しか得られません。軒裏の修繕をする際には軒裏換気を検討してみてくださいね。

 

棟換気

 

「棟換気(むねかんき)」は、屋根の最も高い場所に「換気棟(かんきむね)」と呼ばれる建材を取り付ける換気システムです。住宅の高い場所に空気の出入り口を設けられるので、温度や湿度を効率よく適切に保てます。

 

雨が当たる位置に空気の出入り口を設けるので、間違った方法で設置されると雨が吹き込む恐れがあるため、注意が必要です。

 

とはいえ、本来、正しく取り付ければ雨が吹き込んでも外へ流れ出るように設計されています。棟換気を導入する際は、知識豊富な屋根工事のプロに依頼しましょう。

 

まとめ

あまり目にする機会のない屋根裏の空間ですが、実は室内の快適性に大きく影響していることを今回のコラムではお伝えしました。

 

屋根裏の断熱性や通気性が不十分だと、屋内の温度が上がりやすくなったり、結露が発生して木材が腐る恐れがあります。屋根の寿命を伸ばすためにも、屋根裏部屋の換気設備の存在は重要です。

 

もともと屋根裏に換気設備がある場合でも、うまく機能していない可能性は十分にあります。もし、屋根をリフォームする機会があれば、今回のコラムを参考にして、換気設備の見直しや住宅全体の断熱なども検討してみてください。