住宅の新築やリフォームの際に、どのような建材を用いて外構を構成するか決めかねている方も多いのではないでしょうか。
外構に使われる素材には、砂利や石材、コンクリートなどさまざまなものがあり、素材ごとに機能性や価格が違います。
今回のコラムでは、外構に使用される建材のなかでも砂利(砕石)を用いるメリット・デメリットや、それぞれの砂利の特徴をお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
外構に砂利を使う5つのメリット
冒頭でもお伝えしたとおり、外構に使われる素材にはさまざまなものがあります。では、数ある選択肢の中から砂利を選ぶメリットとはどのようなものなのでしょうか。
以下の5つが、外構に砂利を用いる主なメリットです。ここでは、これら5つのメリットを詳しく解説していきます。
- 雑草の繁茂を抑制できる
- 泥ハネを軽減できる
- 不審者の侵入防止につながる
- 外構の見た目が改善される
- 他の素材よりも安価
雑草の繁茂を抑制できる
外構に使う素材として砂利を採用するメリットの一つに、砂利を敷き詰めることで雑草が生えてくるのを防げることが挙げられます。
土の上に敷き詰めた砂利が日光を遮るので、雑草が伸びてくるのを防ぎながら雑草が育つのを抑制できるのが魅力です。また、雑草が生えても砂利の間でしか成長できないので、引き抜くのが簡単で駆除に手間取りません。
砂利を厚く敷いたり、設置する除草シートの数を増やすなどすれば、より効果的に雑草の繁茂を予防できます。そのため、雑草で外構の見た目が悪くなるのを防ぎたい方や、簡単に除草できるようにしたい方は、外構に使う素材に砂利を採用するとよいでしょう。
泥ハネを軽減できる
外構に砂利を用いることで泥ハネを軽減する効果も期待できます。土が砂利の下に隠れることで泥がハネにくくなり、ズボンや靴などが泥で汚れてしまうリスクを軽減できて安心です。
また、雨や雪、散水した後など、ぬかるんでいても転倒や泥ハネのリスクを減らしてくれます。
それ以外にも、外構に砂利を用いると水はけが改善されるので、水たまりができにくく虫の発生や増殖を防げるのもうれしいポイントです。
不審者の侵入防止につながる
砂利を外構に敷くと、踏んだ際に石が擦れて音がでるため、もし誰かが移動すれば音で分かります。そのため、不審者の侵入防止につながるでしょう。
より防犯に適した砂利を採用すれば、砂利の上を移動すると大きな音がするようになります。防犯性能を向上させたいのであれば、そういった砂利を外構に敷くとよいでしょう。
外構の見た目が改善される
上手に使えば外構の見た目を改善できる点も、外構に用いる素材に砂利を採用するメリットとしてあげられます。
砂利にも種類によって違いがあり、色や形、大きさなどが異なるため、理想とする外構の雰囲気にぴったり合ったものが見つかるかもしれません。
特に、砂利の色は外構の外観や雰囲気に大きく関わる要素で、砂利の色によって演出できる雰囲気が異なります。
例えば、落ち着いた雰囲気に仕上げたい場合、白や黒、茶などのよく使われる色の砂利を採用するとよいでしょう。水色や赤など、いくつかの明るい色の砂利を混ぜて敷けば外構の見た目がカラフルになるなど、好みの外構に仕上げるのに便利です。
他の素材よりも安価
外構に使う素材に砂利を採用すると、石やコンクリート、タイルを使うよりも安価になることが多いです。
例えば、コンクリートを採用した場合の施工費用は1平方メートルあたり10,000円程ですが、代わりに砂利を採用すれば3,000円〜4,000円程と3分の1前後しか費用がかかりません。
ですが、敷き詰める砂利の厚みや、砂利の種類によって施工にかかる費用が異なるため、施工に取りかかる前に必要になる費用を知っておくと安心です。
外構に砂利を使う5つのデメリット
実用性やデザイン、費用面でも外構の素材として採用するメリットがある砂利ですが、外構に使うには、いくつかのデメリットもあります。外構に砂利を採用する5つのデメリットを以下にまとめました。
- 砂利の上は歩きにくい
- ベビーカーや自転車などでの走行が難しくなる
- 飛び散ったり流れる
- 掃除に手間がかかる
- 色味や飾り気に欠けることがある
砂利の上は歩きにくい
敷き詰める砂利の粒の大きさによって異なりますが、外構に砂利を敷くと歩きにくくなってしまう可能性があります。
ハイヒールのような踵が細い靴を履いて砂利の上を歩く場合は特に気を付けましょう。踵が砂利をかき分けて埋もれてしまうので、歩行が難しくなる上に転んでしまうリスクが高まります。
それ以外にも、サンダルなど踏み込みにくい履き物を履いている場合も、砂利の上は歩行が安定せず難しかったり、転んでしまうこともあるので気を付けましょう。
ベビーカーや自転車などでの走行が難しくなる
砂利を敷いた外構では、歩行がしにくくなるだけではなく、ベビーカーや自転車などの車輪がついた乗り物での走行も難しくなります。
土やコンクリートの上のような硬く平坦な場所なら問題なく走行できますが、小石が密集している砂利の上では凹凸が邪魔をして走行が難しいです。
自転車の運転中に砂利にハンドルをとられてバランスを崩したり、ベビーカーの車輪が凹凸に引っかかり乗っていた子どもが落ちてしまう可能性もあるため、砂利の上を車輪の付いた乗り物で走行するのはおすすめしません。
飛び散ったり流れる
砂利は粒が細かいため、ふとしたことで飛び散ったり天気が原因で流されることがあります。
そうして砂利が外構から減っていくと、砂利で覆われていない箇所が生まれたり、全体の厚みが不均一になり外観に違和感が生まれる点がデメリットです。
それ以外にも、下層部の砂利は人が歩いたり乗り物が走行して地面に埋まったり、砂利が外構の外に飛び散ってしまうことが原因で、外構に敷かれた砂利が時間とともに減っていきます。
そのため、外構の施工が終わった後も、何度も追加で外構に砂利を敷かなければならず、費用と手間がかかるのも難点です。
掃除に手間がかかる
外構に砂利を敷くと、掃除がしにくくなり手間がかかる点もデメリットとして挙げられます。砂利の間に挟まった枯葉やゴミなどを掃き捨てようとしても、砂利が邪魔をして掃除がしにくいです。
また、砂利の粒が小さいと砂利の総数も増えるので、砂利粒に付いた汚れをキレイにするのにとても手間がかかります。また、砂利が白いと付いた汚れや苔などが分かりやすいため、タイヤに擦れて砂利が汚れる駐車場や、雨を遮るものがない場所は砂利が汚れやすく白色の砂利を敷くのに適していません。
色味や飾り気に欠けることがある
敷き詰める砂利の色や種類によって異なりますが、砂利を採用すると外構や住宅全体が色味や彩りに欠ける印象になることがあります。
このような印象を与えないようにするには、明るい色の砂利を敷き詰めたり、異なる色の砂利を混ぜ合わせてシンプルな外観になるのを避けるとよいでしょう。
外構に利用できる5種類の砂利を紹介
外構に敷ける砂利にはいくつか種類があります。
ここでは、外構に使われる5種類の砂利の特徴や敷き詰めるのに必要な費用の違い、与える印象などをお伝えするので、外構に使う素材として砂利を採用したい方は参考にしてください。以下が外構に使われる5種類の砂利です。
- 白玉砂利
- グレー砕石
- チャート砂利
- 砕石
- 那智黒石
「白玉砂利」は庭に敷く砂利として人気!
最初にご紹介するのは、庭に敷き詰める砂利として採用されることの多い白玉砂利です。
白い石灰岩を粉砕してできる白玉砂利は和風の庭では落ち着いた雰囲気を演出し、洋風の庭ではモダンな印象を与えるのに役立つため、和風・洋風問わず多くの庭に使われています。
特に、北側に庭がある場合、白玉砂利を敷き詰めるのがおすすめです。
北側の庭は日が差さないことも相まって、黒や茶色の土が何にも覆われずそのままになっていると重苦しい雰囲気になりやすい特徴があります。
ですが、白玉砂利を敷き詰めれば明るい印象が加わり重苦しい外観が改善され、こぎれいで統一された雰囲気が演出できるでしょう。
白玉砂利の難点は、白色のため汚れが気になりやすく、ときどき入れ替えや掃除をしなければならない点です。
余談ですが、白玉砂利はガーデニングやインテリアにも活用できるため、外溝に敷き詰めるだけではなく園芸にも役立ちます。
「グレー砕石」を使えば費用を抑えながら外観にこだわれる
グレー砕石は値段も安く自然な雰囲気を持つ素材です。
厳密にいえば砂利ではなく「砕石」ですが、砂利として知られていることが多い素材なので、ここでも紹介しています。
砕石とは石の名前ではなく、決まった大きさに砕いて作られた角のある石を指すもので、その中でも灰色の砕石がグレー砕石と呼ばれる素材です。
黒や茶色よりも明るく、白よりも暗い灰色の砕石は、角張った形状も影響して自然な印象を与えます。
グレー砕石は特に和風の建物や庭に合うだけではなく、グレー砕石の中にも色や模様の違いがあり適したものを選択できるため、見た目に優れた外構に仕上げたい方は採用を検討してみてはいかがでしょうか。
ですが、角のある角張った素材なので、ペットや小さな子どもがいる家庭では気を付けましょう。
「チャート砂利」は自然な茶色で植物によく馴染む
チャート砂利は、自然な茶色で園芸など緑色との相性がよいです。
和風や古民家風の住宅との相性もよく、木やロックガーデンにも合うので園芸を楽しむ方にとってもチャート砂利は魅力的な素材なのではないでしょうか。
それ以外にも、駐車場に敷き詰めてコロニアル様式やアーリーアメリカンのイメージを実現に近づけたり、土間コンクリートの隙間に敷き詰めて単調な雰囲気を改善したり、さまざまな用途で活用できるのも魅力です。
「砕石」は駐車場におすすめの素材
駐車場に敷き詰めるのにおすすめな素材が砕石です。
先ほどのグレー砕石も、駐車場に敷き詰めるのに適しています。
砂利とは違い、砕石は自然に生まれたものではなく、石を粉砕機で粉砕して作られるため角が取れていません。
そのため、敷き詰めた砕石の角が重なって、重量のある乗り物で走行したり駐車しても問題のないしっかりとした地面に仕上がります。
駐車場に用いられる素材で主流なのはアスファルトですが、砕石を使えばアスファルトより施工費用を安く抑えられるだけではなく、より簡単に施工できるのが魅力です。
ですが、砕石には大きさのある石だけではなく、砂のような細かい粒子状の石も含まれています。そのため、施工が終わった直後は風で砂埃が舞い周りが汚れるのが難点です。
「那智黒石」は和風建築と相性のよい高級感のある石
那智黒石は硯石や碁石にも使われる黒く高級感のある素材です。
また、乾いている時と濡れている時で色味が変化する性質をもちます。乾いていると灰色に近い黒色をしているものが多いですが、水に濡れるとツヤのある黒色に変わるのが特徴です。
表面が研磨された那智黒石は状態に関わらずツヤがあるため、気に入った質感のものを選んだり、敷き詰める場所に合わせて選択するとよいでしょう。
和風建築にマッチするだけではなく、ダークブラウン系のものと合わせると東南アジア風のおしゃれな空間に仕上げられます。
外構に砂利を敷くのにかかる費用の相場
外構に砂利を使う場合、どれくらいの費用が必要になるのでしょうか。ここでは、専門の方に砂利敷きを依頼した際の費用相場をお伝えしていきます。
庭に砂利を敷き詰めるのに必要な費用の相場は、1平方メートルあたり2,000円〜7,000円です。
また、多くの場合、上記の費用で砂利を敷き詰める前の雑草とりや土を固め平坦にする作業を行なってくれます。
敷き詰めるために使う砂利の量を知りたい場合は、以下を参考に計算してみてください。
厚さ(センチメートル)×面積(平方メートル)×20=使う砂利の量(キログラム)
例として、2平方メートル程の場所に、厚み5センチの砂利を敷き詰めるのであれば、2×5×20=200となり、使う砂利の量は200キログラムということが分かります。
では、この砂利の厚さをどのように決めればよいのでしょうか。結論からお伝えすると、どれくらいの重さに耐える必要があるのかを想定して厚みを決めるのがおすすめです。
普通、人が歩くだけであれば3〜5センチメートル程、車を駐車したり重いものを設置する場合は10〜12センチメートル程の厚みを持たなければなりません。
必要な耐荷重に合わせて厚みを決め、先ほど紹介した計算に当てはめて使う砂利の量を求めましょう。
自分で外構に砂利を敷く場合に気を付けたいこと
専門の方に依頼して外構に砂利を敷き詰める以外にも、可能な限り安価に済ませたいのであればご自身で砂利を敷く方法もあります。ですが、DIYで砂利を敷く場合には、いくつか気を付けるべき点があるため事前に確認しておきましょう。
例えば、必要な工程を踏まずにただ砂利を敷き詰めると、外構の状態が悪化し、修復が難しくなることがあります。
砂利をきれいに敷き詰めるためには、事前に砂利を敷き詰める場所に生えた雑草を駆除したり、地面を平坦に整地したり、必要であれば除草シートを設置するなど、さまざまな下準備が欠かせません。
これらの準備をおこなわないと、砂利と土が混ざり合って外観が悪くなったり、凹凸が生まれ歩行しにくくなります。また、元の状態に戻す際に小さな砂利粒をすべて回収しなければならず、とても面倒です。
さらに、適切な素材を選び正しい位置に敷き詰められなければ、住み心地が悪くなったり外観が悪くなってしまう可能性もあります。
ご自身で砂利を敷き詰めれば安価にすませられるものの、作業に時間や手間がかかりますし、間違った方法でおこなって失敗した場合の修復が難しいことを理解しておきましょう。
素材選びや配置決めに関しても、さまざまな選択肢があるため最適なものを選ぶのが難しいです。
ですので、できれば外構に砂利を敷き詰める際は専門の方に依頼するとよいでしょう。
まとめ
外構に用いられる素材には、砂利や石材、コンクリートなどがあり、それぞれ機能性や価格が異なります。その選択肢の中から砂利を選ぶメリットとして挙げられるのが、その機能性です。
例えば、砂利を敷き詰めれば雑草の繁茂や泥ハネを抑制できますし、防犯対策にも繋がります。また、外観の改善や施工費用の削減など、砂利を採用するメリットは機能面だけにとどまりません。
外構に敷き詰める素材としてさまざまな魅力を持つ砂利ですが、外構に使う素材としての採用にはデメリットもともないます。例えば、徒歩や車輪がついた乗り物での移動がしづらくなるのが難点です。
それ以外にも、砂利が地面に埋まったり飛び散ったりして時間とともに減ってしまうためときどき補充する必要があったり、掃除が大変だったりと、メンテナンスに手間がかかります。
また、砂利にもさまざまな種類や色があり、場合によっては外構や住宅全体が色味や彩りに欠ける印象になることがあるため、明るい色の砂利を敷き詰めるなど工夫が必要です。
先でお伝えしたように、砂利にもさまざまな種類があり、それぞれに価格の違いや特徴などがあります。その中でも「白玉砂利」は人気がある素材です。主に庭に敷き詰めるのに使われ、和風・洋風を問わず、さまざまな庭に採用されています。
自然な茶色で園芸など緑色との相性がよい「チャート砂利」は、ガーデニングを楽しむ方におすすめの砂利です。また、和風や古民家風の建物との相性もよく、土間コンクリートの隙間に敷き詰めて単調な雰囲気を改善できるなど、活用の幅が広い点も魅力ではないでしょうか。
「砕石」は駐車場や重いものを設置する場所に敷き詰めるのに適しています。厳密には砕石は砂利ではなく、機械で粉砕され作られた素材です。そのため、砕石は角張っており、その角が重なることでしっかりとした地面に仕上がります。
高級感のある素材を求める方は「那智黒石」の採用を検討してみてはいかがでしょうか。那智黒石は乾いた状態と濡れた状態で質感が変わる性質を持った砂利で、硯石や碁石にも使われます。
和風建築との相性がよいのはもちろんのこと、ダークブラウン系のものと合わせれば東南アジア風のおしゃれな空間を作り上げられる魅力的な素材です。
外構に砂利を使うメリット・デメリットや砂利の種類の他に気になるのが、施工にかかる費用なのではないでしょうか。庭に砂利を敷き詰めるのに必要な費用の相場は、1平方メートルあたり2,000円〜7,000円です。多くの場合、これには砂利を敷き詰める前の雑草とりや土を固め平坦にする作業に必要な費用が含まれています。
また、外構に砂利を敷き詰める場合、事前にどれくらいの厚みが必要か考えましょう。参考までに、一般的に人が歩くだけであれば3〜5センチメートル程、車を駐車したり重いものを設置する場合は10〜12センチメートル程の厚みが必要です。
どれくらいの厚みが必要かが分かったら、以下の計算式を使って使用する砂利の量を求められます。
厚さ(センチメートル)×面積(平方メートル)×20=使う砂利の量(キログラム)
ここまでは、専門の方に施工を依頼する場合の費用をお伝えしましたが、中にはご自身で砂利を敷いて費用を抑えたい方もいるのではないでしょうか。
DIYで外構に砂利を敷くことも可能ですが、必要な工程を踏まずに砂利を敷き詰めてしまうと、外構の状態が悪化して修復が難しくなる場合があります。
また、凹凸が生まれ歩きにくくなったり、砂利の色や種類の選択を誤ると外観が悪化するため注意が必要です。このように、DIYで外構に砂利を敷けば費用は抑えられますが、時間や手間がかかる上に、失敗した場合の修復が難しいことを理解しておきましょう。
砂利にはさまざまな種類があり、特徴や価格にも違いがあります。本コラムを参考にして、住まいの雰囲気や目的に合った砂利を見つけてみてください!